EPISODE6 30代の復讐
大沢は、フィルの仲間想いの優しさが、時には仇になってしまうのではないかと心配をし、団長として団員に厳しい事を言う時がある。
私は、そんな彼の気持ちを知りながらも私なりの思いがあり、団員をかばったり甘い事を言うので、彼とぶつかってしまうことがある。
2年前、団長の『今年はコンクールで金賞をとる!!』この一言がいまだかつて無い大戦となってしまった。
創団当時から、青木フィルはコンクールで良い賞をとる為だけの演奏はしたくない!とコンクールは、あくまでも評価をしてもらう目安なだけであって、青木フィルらしい演奏をお客様に聞いてもらえる定期演奏会を大切にしてきた。
コンクールで金賞を目指すとなると、一生懸命に練習をしても上手くなければ吹く事ができないとか、極端な事をいえば、上手ければOKという「実力主義のようなことになるのかなー」と気になった。
学生のバンドと違って、私達一般バンドのメンバーは、学校に行きながら、また、仕事をしながら、家庭を持ちながら、時間をやりくりしてフィルに来ているのです。年齢も高校生から上は30代半ば、実力も学生の時に数年経験しただけの者もいれば音大を卒業した者もいる。私を含め、「どうせ自分は上手くないしぃ」そんな事を思ってしまうメンバーがいるのでは?と心配になった・・・。
大沢と何度も話し合った。時には言い合いにもなった。彼は、もう少しみんなで力を合わせて上を目指して頑張っていきたい。下手だから切り捨てる様なことはしない。するつもりもない。みんなで上手くなる為の、気持ちを一つにする為の、『金賞』という目標なんだ。と私に必死に語った。
私も、彼が非人間的に実力主義なやり方をする奴ではないことは、分かっているつもりだった。
でも、彼が本気になって熱くなると何を言い出すか・・・・
常にバンドの為を考えて、厳しいことを言う大沢と、身近なところにしか目のいかない私の考えの違いで、
これからも、ずーっと続くであろう2人の戦い。